TKK 創立60周年 記念旅行 報告①
台湾研修視察旅行に参加して
日陶科学㈱ 佐宗 康浩
東海科学機器協会 通称TKKも今年創立60周年を迎えたわけですが、60という数字には実に重みを感じます。人で言えば還暦で、私自身もほどなく還暦を迎えますが、私が生まれる前にすでにTKKは存在していたのです。そしてその歴史を振り返れば、まだ経験の浅い私でも実に感慨深いものがあります。その節目の年に研修も兼ねて、近年科学技術の発展著しい台湾の視察旅行を実施することは、大いに意義のあることであり、その趣旨に賛同し、参加させていただきました。
台湾出発前には、生憎、台風23号が台湾方面に向かって進んでいるとの情報で、帰りが危ぶまれたのですが、無事帰って来られ、今は目的を達成した充実感で満たされております。それでは今回の研修旅行の報告及び私なりの感想を述べていきたいと思います。
台湾到着当日は、台湾を代表する科学技術の集積地である新竹サイエンスパークを見学しました。研修当日は土曜日であったため、会社の見学はできませんでしたが、同パーク内にある管理局にて台湾におけるサイエンスパークに関する説明を受けました。台湾のサイエンスパークは北から南へ数多くありますが、新竹サイエンスパークはその中でも最大で、企業数205社、売上高3.5兆円、従業員数15万人を誇っているということで、日本の企業も15社ほど入っているということです。超優遇税制を敷き、多くの優秀な企業を集め、管理局はあらゆる行政サービスを施すが、企業の商行為には一切干渉しないということで、ここに、ITを中心とする技術立国としての台湾発展の真髄を見た気がしました。
翌日は台北世界貿易センターで開催されている台北国際儀器展(科学機器展)を見学しましたが、展示会もさることながら、台北科学機器協会の方々と昼食を共にし、名刺交換を行い、親睦を深められたことは、大きな収穫でした。ちなみに日本では乾杯は通常最初に行うだけですが、台湾では食事中、何回でも「カンペイ」の掛け声とともに酒を酌み交わします。その際、カンペイの相手方は持っているグラスの酒を全部飲み干さなければならないということです。それができなければ失礼にあたるというのですが、私はそんなこととはつゆ知らず、昼間からそんな飲んではまずいと思い、一口程度飲んでお茶を濁しておりましたが、ずいぶん失礼をしていたと思います。もっと早く教えてほしかったなと思いましたが、知っていたら酔いつぶれていたかも…。
余談はさておき、今回の視察旅行では、他に故宮博物館と九份の見学を行いました。故宮博物館では、翡翠の白菜、肉形石他、精緻な工芸品の数々に感嘆しました。また九份は大ヒット映画「悲情城市」の舞台となったことで台湾屈指の観光地となったのですが、ここにある「阿妹茶樓」は宮崎アニメ「千と千尋の神隠し」のモデルとなった場所で、これにより日本からも訪れる人が後を絶たない観光地となったということです。言うまでもなく私たちもこの「阿妹茶樓」でティータイムをとりました。
さて、今回の視察旅行はコースと言い内容と言い、TKKの60周年記念イベントに実にふさわしいものであると思いました。私自身は台湾は初めてでしたが、印象として台湾は技術立国であると同時に文化では中国より中国らしいところであるというイメージを持ちました。そして今回、旅行を通して参加した東海科学機器協会の方々といろいろコミュニケーションを持てたということは私にとって大いに意義深いものとなりました。普段では総会などで顔を合わせてもあまり突っ込んでお話しすることはありませんが、一緒に何日かを過ごすうちに自然と打ち解けて親しく話ができるようになるのです。これも団体旅行の醍醐味だと思います。まだまだ、私ども中小企業にとっては厳しい情勢が続いておりますが、これからも少しでも多くの会員の方がコミュニケーションを深め、TKKという枠の中で一緒に発展していければ素晴らしいと思いました。今回の旅行を終えて、そんな思いを強く持ちました。