会員だより アカハライモリ飼育記
エスペックミック㈱ 野口 達也
私は、面倒くさがりで生き物を飼うのはあまり向いていないように思います。そんな私でも2年ほど前からアカハライモリを4匹かっています。まだ卵から孵って2年半たらずなので体長は500円玉程度しかありません。イモリというとヤモリと混同されがちですが、イモリは両生類のカエルやサンショウウオの仲間で、水の中に生息し、窓にへばりついているヤモリとは全く異なった特徴をもつ生き物です。
なぜ面倒くさがりな私がイモリを飼うに至ったかといいますと、大学4年生の時に採ってきて研究室で飼育していたイモリがある日、水槽の水草に卵をうみつけたのです。卵を別ゲージに分けていくと、案外孵化するもので、大量のイモリのオタマジャクシを孵すことに成功しました。
イモリのオタマジャクシには小型甲殻類の乾燥卵を孵化させたものを与えました。これがまためんどくさいのなんの。そんな面倒くさい過程を乗り越えて足が出そろってきたかわいい子イモリたちを研究室に置いて卒業するのはどうも名残惜しくて、4匹だけ家に持ち帰ってきて今に至るわけです。イモリは水の底で無表情にぼけーっとしているように見えますが、実は非常に貪欲で、自分の口に入りそうな動くものにはとりあえず噛みつきます。
餌やりの際に、プラケースの蓋をあけると、頭を上にあげて餌をよこせといわんばかりにピンセットを目指して猛進してきます。そして半狂乱状態になり、互いの手足にかぶりついています。もし手足が喰いちぎられたとしてもイモリの再生能力はすさまじく、骨まで再生するというから驚きです。だから大丈夫というわけではないですが…。これだけリアクションがあると面倒くさがりな私でも餌のやりがいがあるわけです。
さらにイモリの特殊性は再生能力だけではありません。お腹側の毒々しい赤色からもわかるようにイモリは毒を持っています。フグと同じテトロドトキシンという毒をもっているそうです。またお腹の赤と黒の模様は個体によってさまざまで地域によっても違うと言われています。なんといってもイモリは飼育難易度が低く、蓋付きの容器に水をいれ陸地をつくってやり直射日光の当たらない場所に置けば飼育環境としては十分です。餌は夏場なら2,3日に一回。冬場なら1週間に一回程度で良いように思います。
イモリは長寿命で飼育下では20年程度生きるという話を聞いたことがあります。我が家のイモリたちが20年生きた場合、現在私は24歳ですので、40歳までお付き合いすることになります。