東海科学機器協会の会報

No.371 2019 夏号

水に関するQ&A

Q
どれくらいまでの汚れであれば、
水はろ過機を通して飲料水として再利用できますか?

A
水の処理法をろ過に限定しなければ、どのような水でも飲料水レベルまでの浄化は可能です。
高度処理をすればするほどコストが高くつくため、日本では排水を処理して直接飲料水にすることは殆どありませんが、水道料金が高い地域では工場排水を処理し、飲料水以上のレベルにして再利用している例はたくさんあります。シンガポールでは下水処理水を高度処理して飲料水にする計画が進行中です(隣国のマレーシアに水の供給を依存しているという政治的事情によると言われています)。
ろ過は原則として、水中の懸濁物質を除去する操作ですから、水道法で定める飲料水基準の項目の中では、色度と濁度が主な対象物質となります。基準値は色度が5度以下、濁度が2度以下です。溶解している成分などはろ過による除去は困難ですから、他の処理が必要となります。鉄やマンガンは地下水中では溶解していますが、酸化によって析出するのでろ過によって除去できます。大都市圏では最近、オゾンや活性炭を使った高度な処理が導入されていますが、これらは水源の悪化に対処するためと、更に味を良くするための両方の効果を狙ったものです。
 以上の処理方法から逆に考えると、水道水源としては重金属などの有害物を含まないこと、生活排水等の汚染が少ないこと等が水質要件といえます。

Q
環境保全のために家庭ではどんなことをすればいいですか?

A
家庭からの排出物について考えてみます。
家庭から排出される水は、下水道または公共水域(河川など)に流されます。何れの場合も排出負荷(量と濃度)を低くすることが大切です。近年では、公共水域の汚染は生活排水が大きな比重を占めているので、特に下水道が完備されていないところでは各家庭においてできるだけ排出物を減らすなどの環境に配慮した工夫が大切です。例えば、
①味噌汁やお酒の飲み残しをしない。
 味噌汁は約20,000ppm、ビールは約70,000ppmのBODを含んでいます。
 魚が住めるBODは5ppm以下です。
②合成洗剤の使用量を減らすため、あぶら汚れなどは紙でふき取る。
 合成洗剤は生物的に分解しにくいので下水処理後もいくらかが残留します。これに比べ油脂
 から作った石鹸は微生物で分解されるので環境への影響が少ないと言えます。 
③残飯を無くす(注)
などです。
 下水道が整備されていない地域では各家庭に浄化槽が設置されていますが、浄化槽の管理をきちんと行うことも大切です。さらに、環境全体を考えた場合、排水だけでなく家庭から出るゴミの量を減らすことやリサイクルのための分別収集も重要なことです。
(注)日本人成人の1日当たりの必要な熱量は約2,200kcalです。これをブドウ糖に換算すると570gとなり、BODに換算すると320gです。成人の排泄物中の1日あたりのBODは13g程度ですから、人体におけるBODの摂取率は約96%となります。このことより残飯を出さないことが、如何に環境への負荷を低くするかが理解できます。