東海科学機器協会の会報

No.377 2021 新年号

かきゃあ あんたも 「孤高のグルメ」

株式会社サンプラテック 田中 徹

 「孤高」とは、集団に属さず身の考えや信念を貫き、ただ一人でその道を突き進む態度や行動
である。
 おいしいものを食べたい、そのためなら一人でも、どこへでも行って食べたい。
そんな探求心のもとにある日、一人で寿司屋のカウンターに行ってみようと思い立ちました。
まったく知らない寿司屋に一人で行くのは、敷居が高い気がして少し気が引けます。別に一人で行
く必要はないのですが、私の考えとして、一人でお店や料理と向き合いたい1対1の真剣勝負を
望みたいのです。そこに同伴者の意見などは求めていないのです。自分がどう感じるか、おいしい
かまずいかです。孤高のグルメとして追及しております。
 ただ、寿司屋でのマナーって難しいですよね。許された人だけが立ち寄れる場所であり、スマー
トに振る舞える人は、それだけで大人なイメージです。こちらは客としてお金払って食べるのだか
ら、好きに振る舞えばいいじゃないか?なんてことを言うのは野暮というもの。そこで粋な立ち居
振る舞いができる大人になりたいのです。
 がらり暖簾をくぐると、そこはカウンター。「いらっしゃいませっ」と大将と対面です。ねじり鉢巻
き白髪でいかにもの雰囲気です。しかしここで物怖じてはいけません。1対1の勝負なのですか
ら。まずは、つまみでお造りを注文します。ここで醤油、わさびをつけて頂きます。このお造りこそ
が本日のネタであり肴です。この後に握ってもらう寿司が何かわかります。ひと通りお造りや気に
なる小鉢などを頂いたら、握ってもらいます。
 「そろそろ握ってください。」カウンターの下駄に寿司が置かれます。速やかに口に運びます。こ
こで置かれた寿司を早く食べないと乾いてしまいますし、次の寿司が出てきません。一番良い状
態で寿司を頂き、そのおいしさと幸福感を味わい感謝することこそ寿司屋へのマナーであると思っ
ております。マナーといえば醤油を皿に入れ過ぎないことです。握り自体のおいしさを楽しむべき
ですし、醤油が足りなくなればまた足せばいいわけですから、ベタベタと付けてはいけません。だ
いたい8貫~10貫を過ぎた頃に巻き物が出てきますので、それで終わりです。ここで気に入った寿
司をもう一度頼みおかわりすることもできます。
 高級寿司や予約の取れない人気店、格安店と様々な寿司屋がありますが、私が感じたのは、醤
油とわさびがおいしい店が、おいしい寿司屋と結論付けました。最初にお造りを注文して食べる際
の醤油とわさびで、その店がわかるとでも言いましょうか、そんな感じです。かなりマニアックな結
論となりましたので、ますます孤独になりそうですが、それもいや結構、孤高のグルメとして追及し
ていきたいと思っております。

17_e3818be3818de38283e381824_e5ada4e9ab98e381aee382b0e383abe383a1