かきゃあ あんたも 原付で日本一周しました
株式会社伸栄科学 小栗 歩
この私自身の経験を話すと、驚かれたり笑われたりがほとんどです。ずっと思い描いていたこの計画ですが、20歳の時、突発的に旅立ってしまったため全くの無計画。ただ漠然とスーパーカブにまたがり走り始めました。荷台に大きな箱を積んだ名古屋ナンバーの原付が珍しいのか、地元を離れれば離れるほど毎日多くの人に声をかけられ、中にはごはんをご馳走してくれたり、泊めてくださる方までいました。
夏でも北海道は寒く、小さなバイクで凍えた私をみて、一週間ほど家に泊めてくださったご夫婦がいました。夫婦は昆布漁を営んでいて、私はそのお手伝いさせて頂けることになったのですが、はじめて触れる海の仕事は未知の事だらけ、仕事が終わると晩酌のご相伴にあずかり、夜中までたくさんのお話を聞かせて頂きました。元々、沖縄出身のご主人は、いろいろな仕事を経て、真逆の北海道、昆布漁にたどり着いたと話してくれました。
また、四国の山の中を走っているとき一台の車に追い抜かれ、少し先で止まったかと思うと、中から出てきた女性が、いきなり私を通せんぼしたのです。なにか悪いことをしたのかと焦る私に、車からお弁当や飲み物お菓子などを、これでもかと出してきて手渡してくれたのです。聞けば、彼女にも私と同い年くらいの息子がいて、放っておけなかったと言われ、いくら何でもそれだけでここまでしてくれるなんて!と、当時は困惑と感動が半々でした。
いろいろな景色を観たいと旅立ったのですが、その景色以上に人の温かさに触れ、日本人は他人にはあまり関らないという固定概念が吹き飛びました。この事が何の役に立つかもわかりませんが、唯一無二の経験として大事にしていきたいです。