東海科学機器協会の会報

No.290 2002 春号

かきゃ~あんたも 東欧諸国を旅行して。

株式会社ヤガミ 八神 基


  少し前の話になりますが、一昨年の夏、盆休みを利用して家人と東欧へ行ってきました。 「経営者たるもの1年間に1、2回は欧米とアジアを見て、感じて来るべし」と言われますが、今後EUへの加盟をめざして市場拡大が見込まれる東欧を、この目で実際に見ることができたのは大きな収穫となりました。また個人的趣味としている写真撮影についても、雨で難渋したものの、千三(せんみつ=3/1000)ではないがまあまあ良い作品が数点出来ました。
 以下、各地の印象です。
1)東欧(人によっては中欧と区分する)は、日本からも資本・観光客が急増し始めている地域。ハンガリーではスズキ自動車が有名だ。首都ブダペシュトは、ドナウの流域にあり、川沿いの都市建築群が美しく「ドナウの真珠」と称されている。ブタペシュトは温泉の町として知られ、高齢者が欧州内から大変多く保養に来ていた。宿泊したホテルも温泉ホテルで、話をした老人達はドイツからだった。
 ハンガリー人はその昔、中央アジアの出自で、今でも私達と同じように姓→名の順で名乗る。現在、周辺諸国に散らばる同胞への優遇策を取ってトラブルを起こすなど民族主義が濃厚だ。対オーストリア 対チェコ 対スロバキア 対ルーマニア など過去の1000年にも亘る抜き難い歴史のしがらみが垣間見られる。丁度私達と中国・朝鮮半島の人々との相克を見る思いだ。その確執の一例として、こんな事態に巻き込まれました。我々一行のバスの運転手がハンガリー人であるが由に、スロバキア国境の“官憲”のイジメ的摘発に遭い、2台のバスともやられた。結局“袖の下”(13,000円位と後で聞いた。日本の物価感覚だと5万円位か)でやっと通過OKとなった。我々のパスポートチェックも1回で済まず、担当者交替とかで2回も提出させられ、ドライバーいじめと併せ1時間半も待たされた。その間バス車中はヤブ蚊の大軍が来襲し、全員蚊退治で車内には奇妙な連帯感が生まれた。スロバキア国境の両替所の応対振りも極めて小役人的イジ悪いもので、これでは観光立国はおろかEU加盟も一足遅れるのではないかと危惧する。一方ハンガリーは経済力も増し東欧の優等生。
2)チェコのプラハは市街地区全体が世界文化遺産で、観光客を暖かく迎え入れるのに手慣れている。我々が出向いたプラハ郊外の田舎家でのチェコの民族音楽と踊りは、暮れ沈んで行く田園の光景と共に忘れ難い。プラハでのもう一晩は日本料理を食べに出向いたが、情けなくなるほど不味くて、値段は日本の高級店並。因みに天ぷら定食約4,500円。移動中立ち寄ったチェスキークルムロフ、ここは観光のみのメルヘンチックな楽しい美しい町。
3)オーストリアのウィーンは夜着、翌半日バスからの観光のみで人々とのふれあいは出来ず。この国は既にEU圏で中・東欧では別格。旧社会主義国でもなく東西中立の立場だったが、今ゲルマン民族主義の抬頭が見られ、欧州内で疑念を抱かれている。(ヒトラーはオーストリアのドイツ人) 今回訪れた国では、観光客が立ち寄る先でも意外と英語が通じない。昔の神聖ローマ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国に至る歴史の名残りをこの東欧諸国に感じる。
4)スロバキアのブラチスラヴァ。国境官憲の悪しき社会主義の残滓については先に書いたが、ここは未だ日本人を含め観光客が少なく整備も進んでいない。また観光の目玉もないので辛い所だ。しかし街の人々は親しみ易く、昨今では珍しく10代の若者が近づいてきて羞らいながら話し掛けてきた。総じて純朴、素直な感じだ。
13-11 5)最終日はブタペシュトに戻り、その夜はドナウ川クルーズ。ライトアップされた川沿いの、あるいは高台にある建築群、またクルーズ船がくぐる橋もライトアップされ、川面に映るそれらの光と実像の光とがカクテルとなる。息を飲む美しさを写真に托そうと何十枚も撮ったが、船の揺れとの同調が極めて難しく、まともなのは1枚のみだった。
 翌日の出発便の時間が遅くなったので、最後にブタペシュトの中心部に出掛けた。行けなかったカフェー“ジェルボー”でケーキも味わえたし、写真も撮れた。リスト記念館は開館時間の上で無理だった。好きなクラシック音楽の宝庫の地に来たのに、コンサートはもとより記念館一つも訪ねられなかったのが今回の旅行での心残りだ。
 最後に余談ですが、昔、母校の教授から教わった話。「トイレとトイレットペーパーがその国とか地方の経済程度を示す身近な尺度だ」。今回の旅行中、道路上で立ち寄ったドライブインでのトイレットペーパーを比較すると、
オーストリア…日本よりやや落ちる(少し黄味がかってサワサワ)
ハンガリーとチェコ…さらに質落ちる(灰色でゴワゴワ)
スロバキア…もともと備え付けの紙がない!!
 一人当たりGDPもこの順序です。
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