東海科学機器協会の会報

No.324 2009 新年号

[ かきゃああんたも ] 下一桁9の年の中国は・・・

フジサンケイ ビジネスアイ常務取締役 小澤 昇


 

 名古屋に30年来の友人がいる。かつては取材する方、される方の関係だったが、いまは年3~4回の互いの出張時に連絡を取り、杯を傾け、その時々の時事問題や読書感想などを語り合うお付き合いをいただいている。人柄の良さはもちろん、博識、識見ともに教えられることが極めて多い。
 そんな彼と昨年盛り上がった話題のひとつに、09年の中国がある。1949年の中華人民共和国の成立宣言から60周年を迎える中国が世界的な金融不安と景気後退の中でどのような存在感を示すのか。08年は北京五輪、四川大地震と明暗ふたつの話題に集約された中国だが、09年はどうか。実は中国でも、私が2年間特派員として過ごした台湾でも「下一桁が9の年は中国に大波乱が起きる」と言い伝えられている。中国に関係の深い人ならご存知の方も多いと思う。

8_1
北京五輪
8_2
四川大地震

 私の初めての中国取材は1986年。財界担当として経団連ミッションに2年連続して随行し、89年は天安門事件直後の中国を4週間に渡って取材した。その時に「下一桁9の年」のジンクスについて知った。確かに当時から10年前の79年は「改革開放元年」だし、69年は毛沢東が林彪を後継者に指名したが林彪は亡命途中に飛行機事故で死亡。この時に政治局員に抜擢された江青は文化大革命で大混乱を起こし、中ソ国境紛争もこの年だった。直近の99年は中国のWTO〔世界保健機構〕加盟をめぐって米中が激しく対立、米空軍機によるユーゴスラビア中国大使館の誤爆事故が火に油を注いだ。
 決して中国の混乱を望んでいるわけではないが、09年の中国でジンクスは生きているのかどうか。いまの国際社会は何が起こっても不思議ではない大激動期にある。全治1年とも3年とも言われる世界同時不況、中国に限らず気合を引き締めて冷静に対処していくことが何より肝要ではないだろうか。