〔サイエンスリレー第5回〕 マイクロインデントスコープ
【リレーでつなぐ×サイエンスコーナー】
各会員様は、それぞれ科学機器業界の一翼を担う、すばらしい商品をもっておられます。
そこから科学技術の側面を切り出し、情報提供するということで会員同士のコミニケーションも高めていきたい。
そこでお馴染みのサイエンスコーナーをリレー方式でつないで行きます!
サイエンスリレー第5回
マイクロインデントスコープ
㈱三弘 伊藤弘一郎


1.はじめに
弊社は東海4県に営業拠点を置き、試験・分析装置等を取り扱う販売商社です。60周年という節目の年を迎えるにあたり、新たな取り組みとして単なる販売商社ではなく、商社という位置づけを最大限に活かしてプライベートブランドの開発に着手しました。そこで我々のお客様でもある公的研究機関のニーズと多くのお客様方のニーズが双間って、最新技術を用いた未だ世の中に存在しない装置を具現化することに成功しました。
2.開発の社会的背景
当該分野では、これまでにナノインデンターと呼ばれる圧子圧入深さ計装型インデンターが市販され普及し始めておりますが、その解析法は弾性仮定を置いて圧子圧入深さから接触面積を推算する手法であり、延性体や弾塑性体、粘弾性体などで見られる表面変形が誤差要因となり、見積もられる力学特性値や応力-歪み曲線は厳密現性が低く、原理を理解している高度なスキルを持った方(専用のオペレータ)でないと正確な評価・解析が不可能でありました。又、販売金額は2~3千万と高額でもありました。以上2点の理由で購入を見送っていたユーザーにも提供可能となると共に、ユーザーが抱える問題解消にも貢献できると考えました。
3.製品の特徴
今回製品化したマイクロインデントスコープは、ダイヤモンドやサファイアなどの微少な透明圧子を固体試料の表面に圧入し、圧子に光を透過させて光学顕微鏡でその場観測することによって、圧入による圧子と試料の接触面積の変化を定量的に測定する事を可能にしました。圧子の駆動機構と荷重検出装置に加えて動画像解析機能が組み込まれ、光学顕微鏡の光学軸上の焦点位置に透明な圧子先端を配置しレンズとしても活用する為、その圧子先端を試料表面に押し付ける際の接触面積の変化をその場計測し、接触面積(A)と負荷荷重(P)との関係から直接的にミクロ領域の力学物性を評価出来ます。又、圧子形状や接触速度などを適切に選択することにより弾性・弾塑性・粘弾性などの各種の力学物性をこの試験装置一台で定量評価出来ます。試験条件の選択により硬度(マイヤー硬度HM)・弾性率(ヤング率E)・降状値(Y)等が求められます。更に、負荷荷重をステップ状に変化させたり、負荷荷重もしくは接触面積を一定値に保持するように制御して、接触面積もしくは荷重の時間変化を測定することで、高分子材料などが示す時間依存型変形特性であるクリープ特性や応力緩和特性を評価出来る為、下記の優位性があります。
①ミクロ領域での力学特性の定量評価により、材料特性向上や機能発現機能解明への貢献に期待。
②軽量化・樹脂化が進む環境対応車の構成品や、フィルム・太陽電池等高機能高分子材料の再現性の高い力学特性評価が可能となり開発期間の短縮が期待できる。
4.今後の展開
関連業界に広報・販売活動を積極的に促進し、その過程で得られる様々なニーズに対応すべき製品の質・機能アップを着実に実現し、日本の素材研究開発の為にお役に立ちたいと考えております。