結露ってどうしてできるの?
エスペック㈱ 営業本部中日本ブロック 石橋義雅
サイエンスコーナーへの投稿依頼を頂きました時、「文系出身の私などお話し差し上げることがあるのだろうか」と思いました。しかし思い直すと、弊社は温度や湿度などを主なビジネスの因子として取り扱っております。そこで、日常生活でよく見かける【結露】について自分のわかる範囲で平易にお話ししたいと思います。
さて、突然ですが、下記のような経験をなさったことはありませんか?
①冬に暖房のかかった室内に入ると、メガネが曇った。
②冬の満員電車の窓が外の冷たい空気に触れて曇った。
③冬の朝方、自動車のフロントガラスに薄い氷の結晶模様が付いた。
いやいや、冬ばかりではありませんよね。
④夏に飲むキンキンに冷えたビール。
グラスに注ぐと表面に水滴が付きます。
これら、身の回りでよく見かける現象が【結露】です。
では、結露はなぜ発生するのでしょうか?
私たちの周りにある空気は、常に、ある一定量の水蒸気という目に見えない形で水分を含んでいます。この空気の気体として含むことが出来る水蒸気の量は温度によって異なる限界があり、温度が低いほど含むことが出来る量が低下します。(限界量に対する実際の水分量を%で示したのが、湿度です)
結露とは、空気が温度の低い物体に触れる等によって冷やされ、その温度で空気の水蒸気を含むことができる許容限界量が下がり、限界を超えた量が液体の水に変わる現象を言います。
電子機器に水滴は禁物ですが、近頃はやりのスマートフォンなどの携帯機器は、雨に濡れなくても濡れることがあるんです。冬に寒い室外から暖房のかかった室内に持ち込まれたり、夏に冷房のかかった室内から蒸し暑い室外に持ち出されたりすると、結露することがあります。
手の温度および手から発散する水蒸気、汗などによっても結露することがあるんです。
こう見ると、スマホ等の携帯機器は、苛酷な環境で使われていることがわかります。
これらの環境を、少しだけサイエンスコーナーっぽくお話ししますと…
下表(水の飽和蒸気圧表)を使って説明します。
例えば、蒸し暑い夏(温度35℃、湿度90%RH)における蒸気圧は、
5,066Pa(5,629×0.9)です。
一方、30℃の飽和水蒸気圧は、4,247Paですから、35℃ 90%RHの室外に、30℃以下のスマホを持ち出すと、製品表面の周辺空気が過飽和状態となり、製品の表面に結露します。
次に視覚的に右上図(相対湿度と水蒸気圧の関係)を使って説明しますと、
T3(15℃ 70%RH)からT4(5℃)に温度が変化すると結露する(C点)
つまり、冷えたビール(5℃)は、真夏でなくとも15℃ 70%RHの室内に置くだけでも、グラスに水滴が付くことがわかります。アイスビール(−2℃〜0℃)だと尚更ですね。
これ以上説明するとボロが出ますので、この辺りで説明は終わります。これからビールを飲む機会のある宴席などで、「どうしてグラスに水滴が付くのか知ってる〜?」などと、酒の肴に使ってみてください。