21世紀の日本
東海科学機器協会 理事 前田 憲一(株式会社島津製作所)
昨年を振り返って最も印象的だった出来事の一つに、米国クリントン大統領の不倫疑惑の報道ぶりがある。それも我々日本人から見ると、一国の大統領を国民の前に素っ裸にし、それをTV報道するのだから恐れ入る。日本で同様の政治家の女性に関するスキャンダルがあったがその報道ぶりはどうだっただろうか?
アメリカ人はもともとその開けっぴろげさが特徴の一つだと思っていたが、これほどまでとは思ってもみなかった。
ひるがえって我が国はどうだろうか?もともと「臭いものにはふた」ということわざがある。意味を辞書で引いてみると「解決しなければならない、いやな問題や知られたくないことが世間にもれないようにすっぽり隠す」とある。そういえば我々はいやなことがあると、どうしてもそれを避けて通りがちだ。アメリカ人ならさしずめ「臭いものはふたを取って、中身を確かめましょう」となるだろう。
ヨーロッパはどうだろうか?どうも日米の中間のようだ。
我々日本人にとってはアメリカ方式が“グローバルスタンダード”と称して、日本になだれ込んできても困るだろう。かといっていつまでも臭いものにふたは出来ない。
臭いものはふたを取って中身を確かめる、ということは言い換えると「問題点を発見する」ということに通じると思う。振り返ってみると我々の日常の活動は「問題点発見の旅」のような気がする。問題点を発見し、それを愚痴って放置せずに、解決策を考え実行することが成長というのだろう。その過程では当然変化がつきものだ。
トヨタ自動車の奥田会長が4年前、就任の社内の所信表明で「これからのトヨタは何も変えないことが最も悪いことだと思ってほしい」といわれたそうだ。大事にしたい言葉だ。